一般財団法人 地域総合整備財団〈ふるさと財団〉が発行している情報誌「ふるさと Vitalization~活力と魅力あふれる地域づくりのために~」2024年10月号にて、ムクナ豆を使用したフリーズドライ味噌「純真ムクナ味噌」をご紹介いただきました

「ムクナ豆」の健康成分に期待

  醤油発祥の地で新商品を開発

和歌山県湯浅町で、伝統的な醤油づくりにこだわる湯浅醤油有限会社。新しい分野にも積極的に取り組む同社は、「ムクナ豆」を使った商品を新たに開発しました。代表の新古敏朗氏に、開発の経緯を伺います。

醤油の発祥地・湯浅で創業

 世界一の醤油づくりを目指す

和歌山県は、日本の食卓に欠かせない味噌・醤油の発祥地です。鎌倉時代、中国・宋に渡った禅僧が金山寺味噌の製法を学んで紀州に持ち帰ったといわれ、味噌づくりの過程で出る「たまり」に湯浅の人々が手を加えて調味料としたものが、醤油の元祖といわれています。弊社は明治14年から「新古商店」の屋号を掲げ、湯浅で味噌・醤油づくりを開始。一時は金山寺味噌の製造に専念するものの、のちに醤油製造事業を再開しています。平成7年に丸新本家株式会社を設立し、同社のしょうゆ部門として平成14年に湯浅醤油有限会社を設立いたしました。醤油発祥の地で醤油づくりをするなら、日本一、ひいては世界一の醤油を作らなければいけない。それが当主である自分の宿命だと思い、「世界入の醤油をつくりたい」を弊社の理念として掲げています。弊社は醤油、金山寺味噌、味噌の伝統的な製法を守りながら、現在のニーズに合った革新的な製品づくりに挑戦しています。お客様からの要望に応え、醤油蔵の見学も随時受け入れ、全国から年間10万人を集客。湯浅の観光スポットの一つとして成長しました。併設しているお土産店やカフェでは醤油蔵ならではの商品やメニューを用意し、お客様に喜ばれています。

アスリートからも支持される

 「ムクナ豆」を使った即席みそ汁

令和4年度ふるさとものづくり支援事業として採択していただき、商品開発を行ったのが、和歌山県で栽培されている「ムクナ豆」を使用したフリーズドライ味噌「純真ムクナ味噌」です。ムクナ豆とは、インド原産とされるマメ科の植物のこと。神経伝達物質であるドーパミンの前駆体(一つ手前の化合物)であるLドーパを1粒あたり4~5%含有しており、摂取することでパーキンソン病による運動能力低下の抑制、うつ状態の抑制につながるといわれています。商品開発のきっかけは、以前から交流のあった東京農業大学の教授がムクナ豆の研究をしており、「ぜひ商品化してほしい」とお声をかけていただいたため。これまでもムクナ豆の効果に注目した他企業が商品開発・販売をしてきましたが、粉末や錠剤のサプリメントばかりで、食品として加工された商品はなかったそうです。醤油・味噌づくりのノウハウを持つ弊社が開発に携わることで、健康かつおいしい商品を作れるのではないかと大学側から期待を寄せていただき、引き受けることにしました。ムクナ豆に含まれるLドーパは水に濡れると酸化、分解されて減少してしまうため、通常の味噌づくりのように原料処理の際に蒸したり煮たりということができません。東京農大と共同研究の結果、乾燥させた味噌と乾燥させたムクナ豆をそれぞれ粉末にしてミックスする方法を採用。Lドーパ量が減少せずに摂取できる、粉末タイプの「純真ムクナ味噌」が完成しました。1箱10食入り、1食ずつ個包装されているので、袋から出してお湯に溶かすだけで、手軽に飲むことができます。通常、このようなインスタント商品はうまみ調味料を添加して味を調えることが多いのですが、「せっかく健康を意識した商品なので、できるだけ添加物を減らし、その上でうまみを出したい」と思い、調味には鰹節粉、椎茸粉、昆布粉をプラスしたのみ。食品由来のうまみとやさしい風味で、“家庭で飲むおいしい味噌汁”のイメージを目指しました。素材の味を感じてもらうためにあえて具材は入れていないので、食事に制限のある方や食欲のないときでもおいしく召し上がっていただけます。

ムクナ豆は熱処理を加えた後、Lドーパの数値を計り、1食あたりの必要量を計算して作っています。パッケージには「1袋(10グラム)あたり、Lドーパ約60ミリグラム含有」と明記しているので、たとえばパーキンソン病の治療中も、治療薬と本商品を併用できるか判断しやすくなっています。実際に、医師と相談のうえで本商品を定期購入しているパーキンソン病の患者さんもいらっしゃるほどです。また、「純真ムクナ味噌」を試した方からは、集中力アップや気分が前向きになる、といった変化を感じているという声もいただいています。弊社はパラリンピックアスリートの食事支援を行っているのですが、選手の方々に本商品を大変気に入っていただき、遠征先にも携行してくださっているそうです。今後はアスリートをはじめ囲碁・将棋の棋士の方、受験生の方など、集中力を必要とする方に向けたアピールをしていきたいと考えています。

地域の子どもたちや海外に向けて

  湯浅の伝統や文化を伝え続ける

現在「純真ムクナ味噌」は公式オンラインショップでの販売がメインで、弊社敷地内の売店等でも販売中。まだ商品の認知度が低く、購入した方々の口コミで情報が広がるのに頼っている状態です。積極的に商品の魅力をアピールし、必要な方のもとに届けたいと思っています。本商品の需要が高まり増産体制に入れれば、製造や農業など地域雇用を増やすことにもつながるので、頑張りたいですね。会社設立から20年を超え、その間に様々な取り組みを行い、様々な出会いがありました。今回の商品開発もそのひとつです。他には、地元小学校に赴いて醤油づくりの出前授業を長く続けており、かつて授業を体験した子の何人かは、いま弊社の社員として働いてくれています。また、近年取り組んでいるのが海外での醤油づくりです。ワインの銘醸地であるフランスのボルドーに行く機会があり、「ワインづくりの道具を使えば海外でも醤油を作れるのでは?」とひらめきました。今年4月に現地のワイナリーで醸造した醤油は、3週間で7000本を売り上げ、手ごたえを感じています。地域の伝統・文化が子どもたちや海外の方々に伝わっていくのは非常に素晴らしいことです。今後も醸造を通じて湯浅の魅力を発信していきたいと思います。

今回取り上げていただいた「純真ムクナ味噌」

ムクナ豆 Lドーパ
ムクナ豆 Lドーパ

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