「KIZASHI vol.22 /特別号“MEETS”」
関西おもしろ企業事例集 - 企業訪問から見える新たな兆経済産業省
近畿経済産業が発行しています冊子に「第9回ものづくり日本大賞」近畿ブロックの特集が組まれ掲載されました。
(以下本文)
第9回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞
受賞件名 世界初!醤油発酵技術をカカオに応用「チョコレート第5次革命カカオ醤」
受賞者 新古敏朗、湯川福雄
【受賞者メッセージ】
4年間のベトナムのカカオ農園や発行施設の障害者、ショコラティエ、チョコレートソムリエ等多くのバックアップのお陰で前人未到の調味料が完成しました。今回の受賞は、日本の発酵が世界に誇れるエンジンになる予感がし、大きな名誉と自信を与えていただきました。今後より一層の研究開発とグローバル展開できますように進めていきたいと思います。
醤油発祥の町“湯浅”から新たな可能性への挑戦
和歌山県湯浅町は醤油発祥の地と言われており、その歴史は鎌倉時代まで遡る。そんな伝統の地で新たなイノベーションが起こった。湯浅醤油有限会社は創業140年以上の歴史を持つ丸新本家株式会社の醤油部門を、5代目となる代表取締役の新古敏朗氏が平成14年に法人化。国産素材にこだわり、大きな木樽で長期熟成させる伝統製法で作る醤油に定評があり、大手醤油会社が見学に訪れるほどである。新古氏は醤油作りに従事する中で、発行技術の追求と醤油の特徴を活用した製品開発、また醤油蔵の見学を軸とした観光事業の展開などを行ってきた。背景には醤油発祥の地としての「湯浅醤油のブランド化」と「地域振興」を進めたいという思いがある。そのような日々の挑戦の中で生まれたのが、世界初の調味料「カカオ醤」だ。
チョコレート第5次革命 新たな調味料「カカオ醤」
きっかけは、新古氏がイタリアを訪れた際のカカオ豆からチョコレートを作った体験だ。今までチョコレートに関心はなかったが、発酵食品であることに興味を持ち、「カカオ豆で醤油を仕込んだらどうなるだろう?」と遊び心を持つ。醤油作りに熱心な新古氏は、早速2017年にベトナムのカカオの産地をめぐり、自分のアイデアを試してみることにした。今までにないチョコレート味の醤油ができるのではないかと。「チョコレート第5次革命」ともいえるカカオ醤の製法はユニークだ。使うのは廃棄されていたカカオの未熟豆。上質で酸味のあるカカオ豆よりも、酸味が少ない未熟豆がむしろ醤油のうまみに合うことを発見した。また、検討段階の当初はカカオ豆を麹で分解することに注力していたが、フランスのショコラティエの技術により焙煎することで、カカオ独特の香りが増幅されることを発見。瓶内熱成させることで商品化に成功した。使用する醤油も、どの醤油でもよいわけではない。いろいろな醤油を試したところ、伝統の製法金山寺味噌のたまり醤油が合うことに気づき、今までにない画期的な調味料を生み出したのである。さらに、カカオ醤で使用したカカオ豆の農園は障碍者雇用に配慮された施設ともなり、様々な観点からSDGsの精神が込められた研究である。
世界と醤油をつなげる
「カカオ醤」はまったく新しい調味料だ。発売当初は、「そんなに売れるとは思わなかった」新古代表は話すが、2020年発売と同時に3000個が完売。すでに海外販売も進めている。発売当初から大きな注目を集め、現在では国内外でジャンルを問わず様々な料理人などが注目している。またカカオ醤をきっかけに、ヨーロッパを中心とした海外で醤油そのものへの認知度や関心度アップにもつながっている。伝統的な産業でも、新たな技術の探求や斬新な発想をもち、思いもしない材料との組み合わせなどにより、産業としての新展開が期待できる見本事例といえるのではないだろうか。
粒とペーストの2種類ありますカカオの粒子を粗くしてつくっているので、食材のアクセントに!ペーストは、アイスクリームにつけて食べるのもおすすめです!
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CACAOJANG (yuasasyouyu.co.jp)
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CACAO JANG | 湯浅醤油・金山寺味噌・生米麹の丸新本家 (marushinhonke.com)