日本国外務省が発行しているカルチャーマガジン「にぽにか」no.34に湯浅醤油が掲載されました
●「にぽにか」とは?
日本語で「日本」を表す時の音「にっぽん(nippon)」をもとに名づけられた「にぽにか(niponica)」は、現代日本の社会、文化を広く世界に紹介するカルチャー・マガジンです。日本語版の他に、英語、スペイン語、フランス語、中国語、ロシア語、アラビア語の全7ヵ国語版で発行されています。
古くて新しい日本の大豆食品
寿司やてんぷら、蕎麦など、和食の味を支える醤油は大豆から生まれる。今も受け継がれる伝統の醬油づくりから、日本の食文化と大豆の深い関係を探ってみよう。良質なたんぱく質や資質が豊富で、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれる大豆。スーパーフードとして健康志向の人に好まれてきたが、近年は代替肉の原料にも活用され、世界的に注目度が高まっている。
本人はそんな話題の食材に、古くから親しんできた。大豆は、野菜中心の和食にあって、不足しがちなたんぱく質を補う貴重な存在。煮たり、煎ったりしても食べるほか、さまざまに加工した大豆食品が食卓を賑わせてきた。味噌や豆腐、納豆はその代表格。
だが、なかでも醤油の重要性は別格で、この調味料のない和食など想像がつかないといっても過言ではない。醤油は、13世紀に禅僧が伝えた味噌の製造過程で生まれ、工夫と改良を重ねながら、現在の赤黒く香ばしい醤油へと完成したとされる。
発祥地の和歌山県湯浅町では、今でも伝統的な製法による醤油づくりが行われている。茹でた大豆と炒って砕いた小麦を混ぜて麹種をかけ、温度を一定に保ちながら3日間糀菌を繁殖させる。これに、大豆の茹で汁と塩を加えてもろみと呼ばれるもととなる液をつくり、木樽に入れて、1年半以上、さらに発酵させていく。この時に大切なのが、櫂入れという作業である。櫂という道具で攪拌させることで、発酵を促すのだ。醤油蔵に空調設備は無く、日々変化する気温の中でもろみの状態を確認し、櫂入れの頻度や時間を調整する。
こうして熟成させたものを布で包んで絞り、さらに2週間ほどおいて油や澱などの不純物を取り除いた後、火入れ作業を経て、ようやく醤油は完成する。加熱すると菌の発酵が止まるだけでなく、醤油独特の香ばしさが生まれるのだという。良質な大豆を使い、時間をかけてつくられた醤油は濃くまろやかで、うま味の深さが際立つ。本格的な醤油を、ぜひ一度味わってみてほしい。(本文より)
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