日本経済新聞(2023.3.26)にクラフト醤油の記事がでました。
湯浅醤油㈲と、愛媛県大洲市の梶田商店さんが紹介されました!
湯浅醤油㈲の記事は、和歌山県湯浅町で造る醤油ではなく、現在進めているフランス産原料を使用し、フランスで醸造する完全フランス産のオーガニック醤油についてです!
「風土が育む 世界に一つの味」
日本国内にある醤油蔵は1000を超えると言われ、その味わいは千差万別だ。
甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の「5原味」が複雑に混じり合う醤油は、職人のさじ加減で世界にたった一つの味と香りを醸し出す。原材料や製法にこだわり、その土地でしかつくれない「クラフト醤油」を生み出そうと腕を競うつくり手たち。彼らが見据えるのは世界の市場だ。
醤油の由来には諸説あるが、鎌倉時代に中国で仏教を学んだ僧が和歌山県で味噌の製法を伝え、その木桶の底にたまった液体を加工したことが始まり、と伝わる。その後、江戸時代の紀州湯浅(和歌山県湯浅町)は醤油の一大産地として栄えた。
そんな醤油発祥の地から、新世代の醤油づくりに向けた新たな挑戦が始まろうとしている。
湯浅醤油を経営する新古敏朗さんは3月、食の大国フランスでの醤油づくりに乗り出した。梶田さん(梶田商店)同様、新古さんが見据えるのも世界の市場。そんな強い思いから自らの名刺に「世界一の醤油をつくりたい」と刷り込んだ。意気込みの強さゆえ、醤油業界を見つめる目も厳しい。「醤油の基本的な製造工程は明治から変わっていない。もっと新しい原材料や製造法を試し、世界に通用する醤油を目指すべきだ」「和食の消費が減ったから醤油は売れないと嘆いても意味がない。いまの人が欲する醤油をつくればいい」激しい言葉が口をつくのは自らを律するためでもある。
研究熱心で、かつては昆虫を原材料に用いた醤油づくりに挑んだこともある。そんな新古さんが目下、挑んでいるのは、フランスの原材料を使って現地で仕込む純フランス産のクラフト醤油だ。かつてフランス旅行で現地のワイナリーを見学した際、あることに気づいた。
「ここにはワイン製造用の木樽や絞り機がある。あとは麹さえあれば、醤油が作れるんじゃないか」2018年に種麹を手に再びフランスへ。現地で知り合った日本人のワイン醸造家から大豆と小麦を調達し、ワインの中古樽を使って、醤油を仕込んでみた。
2年後、出来上がったフランス産醤油を現地の料理人や商売人にふるまうと反応は上々。さっそく現地のワイナリーから「一緒に醤油をつくらないか」と声がかかった。そして今年3月。大豆や小麦から塩まで、すべて現地産の原材料による醤油づくりが始まった。
販売するのは1~2年後。「良いワインは1本10万円で売れる。フランスで良い醤油をつくれば、必ず正当に評価されるはずだ」。そう新古さんは確信する。風土や仕込み方ひとつにも左右されるクラフト醤油。だからこそ世界には無限の可能性が眠っている。(本文より)